三友堂病院 緑内障患者に希望の光 インプラント手術導入

米沢市中央六丁目の三友堂病院(仁科盛之理事長)はこのほど、緑内障の治療法として「バルベルト緑内障インプラント」を眼球に挿入する手術を導入した。差し込んだチューブから眼球内の液体「房水」を出して眼圧を下げ、視神経への負担を軽減し、症状の進行を防ぐ。正式な採用は県内初。海外では20年以上の歴史がある手術法だが、日本では今年4月から保険の適応が開始された。

緑内障は、視神経が徐々に障害を受け、視野が狭くなっていく病気。眼球内の房水によって眼圧が高まり、視神経が圧迫されることなどが原因で、症状が進むと失明する危険性があるという。

従来の初期治療としては、眼圧を下げる目薬の使用、房水の出口を広げる簡易手術トラベクトームなどがあり、改善しない場合には眼球に穴を開けて房水を外に逃がす手術を行う。ただ、眼球に穴を開けた場合、約半数のケースで5年以内に穴がふさがってしまい、再手術可能な回数も限られていることから、その先は打つ手がなかった。

バルベルト緑内障インプラントは、長さ2センチほどのプレートに細いチューブの付いた医療用具。眼球上部に固定し、チューブを挿入して房水を出すことで、長期的で安定した眼圧コントロールを可能にした。国内では手術例が少なく、初期治療が効かない患者にのみ使用されているが、事例が増えれば、初期の段階から手術ができるようになる可能性もあるという。

同病院では保険適応外だった10年ほど前に初めてインプラント手術を行い、これまでに3回手術を実施。いずれの患者も安定した状態だといい、装着の違和感もないという。

手術を行っている眼科の蒲山科長は「バルベルトインプラントは、失明を待つしかなかった患者さんには希望の光だと思う。若くして発症したとしても、望みを持って治療してほしい」などと話している。