三友堂病院

                       がん登録担当部 診療部(がん診療部門)

                                  人事企画部 秘書課

目次
1.はじめに
2.院内がん登録の収集方法
3.院内がん登録統計
a.がん登録患者数(延べ数)
b.がん登録患者実数統計
c.主要部位(胃、大腸、乳腺、肺、前立腺)がん登録患者統計
d.術後再発、転移、重複癌等に関する統計
4.結果
5.まとめ
6.さいごに
文献

1.はじめに

三友堂病院では、平成21年より院内がん患者のデータを電子データとして登録を開始した。この事業は、平成23年11月に認定された「日本がん治療認定医機構 認定研修施設」の所定条件のみならず、当院の院内がん患者の把握や診療評価のための資料、さらには臨床疫学研究への資料等として様々に利用される。

平成24年からは、院内がん患者の把握のため、また、生存年数把握のために、保管されていた「山形県悪性新生物患者届出票」の控えから、現在も当院に通院しているがん患者を抽出し電子データに登録した。さらに、生存年数確認のために、生存患者、不明患者を電子カルテで転帰を確認する際、当院で根治術(外科的根治術、内視鏡でのEMR・ESD・ポリペクトミー)を施行した患者の予後も確認し、再発、転移または別部位に新たにがんの発症が確認されたかどうかの確認もおこなった。もし、がんの発生が確認された場合は、診断日から確認日までの期間をデータとして入力した。

今回の統計は、平成25年に登録したデータの集計と平成25年登録を含む全ての癌患者のデータの集計に分類し、「院内がん登録」をまとめた。その統計結果を報告する。

2.院内がん登録の収集方法

a.院内がん登録の収集方法

医師が、山形県の地域がん登録事業に提供する「山形県悪性新生物患者届出票」の発行に基づき、データを収集する。
当院では、事務部門で様々な患者データを入力する際に、未登録がん患者のリストを作成し、それを基に、「山形県悪性新生物患者届出票」をあらかじめ作成し、電子カルテに一時保存をする。さらに、登録する際に使用した資料と一緒に一時保存の届出票を印刷し、医師に提出する。その後、医師がそれを確認して本保存を行うという方式にした。

b.院内がん登録の登録対象

1) がん患者と診断した場合(他病院からのがん患者の紹介含む)
2) がん患者を手術した場合(同一科の場合、手術後に登録)
3) がん患者が死亡した場合
※山形県の地域がん登録事業には、同一部位の場合上記1~3のうちどちらか1回のみ提出でと依頼されている。しかし、院内がん登録は、生存年数把握のために、発症時及び死亡時は必ず記載するよう医師に依頼している。

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c.生存年数の基本日およびステージ別転帰

1) 平成 25年に受診して生存が確認されたがん患者は、基本日を平成25年12月31日として生存年数を計算した。
2) 平成 25年に受診しなかったがん患者は、生存年数を不明とした。
3) 平成25年までの間に死亡したがん患者の生存年数は、死亡日を基本日とし生存年数を計算した。
4) ステージ別転帰は平成25年12月31日までの間の動向を転帰で表した。
※上記は、電子カルテを使用し受診の有無を調べた。

d.重複がんの生存年数およびステージ分類

重複がん患者の生存年数およびステージ分類は、基本的には、診断日の早い方のがんを基準としているが、数ヶ月の間に重複がんがみつかった場合にはステージ分類の重い方を診断日の基準として使用した。

3.院内がん登録統計

a.がん登録患者数(延べ数)

1) 部位別
登録された全てのがん患者(新規発生登録、死亡時登録)の延べ数を年別に表した(表1図1)。また、全がん登録患者と平成25年登録がん患者に分けて、部位別の比率を表した(図2a、図2b)。
2)性別
登録された全てのがん患者の延べ数を性別で表した(表2、図3
3)発見経緯別
登録された全てのがん患者の延べ数を発見経緯別で表した(表3、図4)。また、全がん登録患者と平成25年登録がん患者とに分けて、発見経緯別の比率を表した(図5a、図5b
4)部位別患者年齢分布
登録された全てのがん患者の延べ数を部位別、年齢別で表した。年齢は、がん登録記載月日を基本日として計算した(表4、図6)。

表1 がん登録患者 部位別・登録年別統計(延べ数)

部位 H20以下 H21 H22 H23 H24 H25 合計
C34 肺癌  10  50  55  67  91  87  360
C15 食道癌  12  5  9 8  9  7 50
C16 胃癌  227  50  56  62  105  97  597
C18 結腸癌  125  46  39  37  62  52  361
C20 直腸癌  64  27  21  18  33  33  196
C22 肝癌  10  19  14  14  14  12  83
C23 胆嚢癌  6  3  3  4  11  4  31
C24 胆管癌  2  8  5  6  5  10  36
C25 膵癌  1  16  15  16  20  27  95
C50 乳癌  138  19  21  21  27  31  257
C73 甲状腺癌  19  1  4  2  1  6  33
C61 前立腺癌  1  2  12  45  49  109
67 膀胱癌  3  4  1  5  24  21  58
C68 泌尿器関連癌 5  4  4  13  26
C57 婦人科系癌  6 3  2  1  5  17
  その他の癌  13  6  7  12  17  24  79
合計  630  261  260  290  469  478  2388

図1


図2a


図2b

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表2 がん登録患者
性別・登録年別統計(延べ数)

登録年・性別 合計

図3

H20年以下 284 346 630
H21年 124 137 261
H22年 147 113 260
H23年 185 105 290
H24年 309 160 469
H25年 314 164 478
合計 1363 1025 2388

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表3 がん登録患者 発見経緯別・登録年別統計(延べ数)

登録年・発見経緯 癌検診 検診・ドック 他疾患の経過観察中 自覚症状 その他 合計
H20年以下 36 150 107 277 60 630
H21年 20 17 74 136 14 261
H22年 16 17 77 140 10 260
H23年 12 24 101 137 16 290
H24年 22 36 162 220 29 469
H25年 17 59 192 188 22 478
合計 123 303 713 1098 151 2388

図4


図5a


図5b

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表4 がん登録患者 部位別年齢分布(延べ数)

臓器別 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代以上 合計
C34 肺癌  1  6  14  63  116  134  26  360
C15 食道癌  1  5  19  13  11  1  50
C16 胃癌  6  22  61  151  179  144  34  597
C18 結腸癌  1  1  9  45  73 114  92  26  361
C20 直腸癌  1  6  32  50  54  45  8  196
C22 肝癌  1  8  20  36  18  83
C23 胆嚢癌  1  1  5 5  17  2  31
C24 胆管癌  1  6  9  13  7  36
C25 膵癌  2  12  21  30  25  5  95
C50 乳癌  1 10  53  49  76  42  22  4  257
C73 甲状腺癌  11  5  8  4  3  2  33
C61 前立腺癌  3  25  44  33  4  109
C67 膀胱癌  5  6  14  29  4 58
C68 泌尿器関連癌  1  2  11  8 4  26
C57 婦人科系癌  1  4  2  4  3  3  17
  その他の癌  2  1  6 15  21  30  4  79
合計  3  21  118  249  540  696  627  134  2388

図6

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b.がん登録患者実数統計

1) 部位別、性別
(1)平成25年に登録されたがん患者の実数を男女別で表した(表5、図7)。平成25年に登録されたがん患者の実数を男女別に、部位別の%で表した(図8a、図8b)。
(2)当院で登録された全がん患者の実数を男女別で表した(表6、図9)。当院で登録された全がん患者の実数を男女別に、部位別の%で表した(図10a、図10b)。
(3)当院で登録された全がん患者のうち、生存が確認された患者の実数を男女別で表した(表7、図11)。当院で登録された全がん患者のうち、生存が確認された患者の実数を男女別に、部位別の%で表した(図12a、図12b)。
2) ステージ別転帰
(1)平成25年に登録されたがん患者の実数をステージ別に下記の方法で表した(表8、図13)。
a)生存:平成25年に当院を受診した患者は生存とした。
b)死亡(癌死):平成25年までの間に死亡した場合を死亡とし、死亡診断書の直接死因、死因原因および影響病名にがんの診断が記載されていた場合を癌死とした。
c)死亡(他疾患):平成25年までの間に死亡した場合を死亡とし、死亡診断書の直接死因、死因原因および影響病名欄にがんの診断が記載されていない場合を他疾患による死亡とした。
d)不明(90歳以上):平成25年の間に当院を受診せず、12月31日の基本日で90歳以上の方を不明(90歳以上)とし、その後の更新を来院するまで点検しないようにした。
e)不明(受診無し):平成25年までの間に、他院への転院等の理由もなく受診しなかった場合を不明(受診無し)とした。
f)不明(他院へ):平成25年までの間に、他院へ転院した場合、不明(他院へ)とした。
g)不明(施設へ):平成25年までの間に、施設へ入所した場合、不明(施設へ)とした。
(2)平成25年に登録されたがん患者の実数を転帰別に%で表した(図14)。
(3)平成25年登録を含む全てのがん患者の実数も同様に統計処理を行った(表9、図15)。
(4)平成25年登録を含む全てのがん患者の実数を転帰別に%で表した(図16)。
3) 部位別年齢分布
(1)平成25年に登録されたがん患者の実数を部位別の年齢分布で表した(表10、図17)。年齢は、生存者の場合は平成25年12月31日を基本日とし、平成25年までの間に死亡した患者の場合は死亡日を基本日とした。また、転帰不明の患者11名は生死が判別できないため、年齢を計算することができないので分析から除外した。
(2)平成25年登録を含む全てのがん患者の実数も同様に統計処理を行った。転帰不明の患者、159名は分析から除外した(表11、図18)。
4) ステージ別生存年数
(1)平成25年に登録されたがん患者の実数をステージ別に生存年数を表した(表12、図19)。転帰が不明の患者の場合、生存年数を不明とした。また、表12の( )内には平成25年までの間に死亡した患者の実数を表した。生存年数は、がんと診断した年月日から前述の基本日までの期間を生存年数とした。なお、診断日が紹介等で詳細が不明などの理由で記載されていなかった場合は下記のように診断日を設定した。
例1)診断日が平成21年の場合、平成21年1月1日とした。
例2)診断日が平成21年3月の場合、平成21年3月1日とした。
(2)平成25年登録を含む全てのがん患者の実数も同様に統計処理をおこなった(表13、図20)。
(3)平成25年に登録されたがん患者と全がん登録患者の生存年数を%で表した(図21a、図21b
5) 部位別ステージ分類
(1)平成25年に登録されたがん患者の実数を部位別ステージ分類で表した(表14、図22)。表14の( )内には平成25年までの間に死亡した患者の実数を表した。
(2)平成25年登録を含む全てのがん患者の実数も同様に統計処理を行った(表15、図23)。

表5 H25年がん登録患者

部位別・性別統計(実数)

H25 合計
C34 肺癌 51 16 67
C15 食道癌 7 1 8
C16 胃癌 66 28 94
C18 結腸癌 18 25 43
C20 直腸癌 26 12 38
C22 肝癌 5 2 7
C23 胆嚢癌 4 4
C24 胆管癌 4 4 8
C25 膵癌 16 7 23
C50 乳癌 32 32
C61 前立腺癌 45 45
C67 膀胱癌 17 2 19
C68 泌尿器系癌 7 3 10
C57 婦人科系癌
  その他の癌 12 12 24
合計 274 153 427

図7


図8a


図8b

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表6 全がん登録患者 部位別・性別統計(実数)

部位 合計
C34 肺癌 173 69 242
C15 食道癌 35 3 38
C16 胃癌 319 178 497
C18 結腸癌 143 140 283
C20 直腸癌 103 64 167
C22 肝癌 30 22 52
C23 胆嚢癌 9 16 25
C24 胆管癌 15 12 27
C25 膵癌 37 39 76
C50 乳癌 1 235 236
C61 前立腺癌 100 100
C67 膀胱癌 36 8 44
C68 泌尿器系癌 13 8 21
C57 婦人科系癌 17 17
  その他の癌 40 53 93
合計 1054 864 1918

図9


図10a


図10b

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表7 全がん登録患者の内、生存患者部位別・性別統計

部位  合計
 C34 肺癌  33 20  53
 C15 食道癌  15  15
 C16 胃癌  179  107  286
 C18 結腸癌  94  78  172
 C20 直腸癌  65  44  109
 C22 肝癌  5  3  8
 C23 胆嚢癌  2  5  7
 C24 胆管癌  3  2  5
 C25 膵癌  3  2  5
 C50 乳癌  1  190  191
 C61 前立腺癌  76  76
 C67 膀胱癌  18  5  23
 C68 泌尿器系癌  4  3  7
 C57 婦人科系癌  5  5
   その他の癌  13  31  44
 合計  511  495  1006

図11


図12a


図12b

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表8 H25年がん登録患者 ステージ別転帰(実数)

stage分類 生存 死亡 不明 合計
癌死 他疾患 他からの連絡 90歳以上 来院無し 他院へ
stage 0 11 2 13
stageⅠ 98 18 9 1 6 132
stageⅡ 60 16 2 1 1 80
stageⅢ 41 25 3 1 2 72
stageⅣ 27 73 2 1 103
不明 14 12 1 27
合計 251 144 17 4 1 1 9 427

図13


図14

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表9 全がん登録患者 ステージ別転帰(実数)

stage分類 生存 死亡  不明 合計
 癌死 他疾患 他からの連絡  90歳以上 来院無し  他院へ 施設へ
 stage 0  48  3  1  9  3  1  65
 stageⅠ  463  50  47  1  8  23  36  1  629
 stageⅡ  249  52  14  2  10  11  11  1  350
 stageⅢ  167  134  14  2  5  2  19  1  344
 stageⅣ  55  374  4  2  4  9  1  449
 不明  24  51  3  1  1  1  81
 合計  1006  661  85  7  25  50  79  5  1918

図15


図16

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表10 H25年がん登録患者 部位別・年齢別統計(実数)

部位 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90以上 合計
C34 肺癌 5 9 17 27 7 65
C15 食道癌 1 1 2 4 8
C16 胃癌 10 13 27 30 10 90
C18 結腸癌 1 4 6 14 13 5 43
C20 直腸癌 6 10 10 10 1 37
C22 肝癌 1 1 3 2 7
C23 胆嚢癌 1 3 4
C24 胆管癌 1 4 2 7
C25 膵癌 1 7 9 5 1 23
C50 乳癌 5 5 11 3 5 1 30
C61 前立腺癌 1 14 12 16 1 44
C67 膀胱癌 3 1 8 6 1 19
C68 泌尿器系癌 5 4 1 10
C57 婦人科系癌 1 2 1 1 5
  その他の癌 2 5 5 11 1 24
合計 1 9 38 78 118 140 32 416


図17

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表11 全がん登録患者 部位別・年齢別統計(実数)

部位 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90以上 合計
C34 肺癌 1 3 7 42 64 91 18 226
C15 食道癌 3 7 9 14 1 34
C16 胃癌 5 26 76 132 165 38 442
C18 結腸癌 6 13 33 84 88 31 255
C20 直腸癌 2 13 28 47 53 7 150
C22 肝癌 1 4 8 20 14 1 48
C23 胆嚢癌 2 2 3 16 1 24
C24 胆管癌 1 1 7 11 6 26
C25 膵癌 1 8 16 26 21 4 76
C50 乳癌 19 40 56 48 42 7 212
C61 前立腺癌 1 20 41 29 5 96
C67 膀胱癌 4 4 14 14 5 41
C68 泌尿器系癌 1 1 7 9 3 21
C57 婦人科系癌 1 4 2 4 2 4 17
  その他の癌 1 2  10 20 20 33 5 91
合計 1 2 44 134 314 526 602 136 1759


図18

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表12 H25年がん登録患者 ステージ別生存年数(実数)

生存年数 stage 0  stageⅠ  stage Ⅱ stage Ⅲ  stage Ⅳ  不明  合計
 1年未満  4(1)  57(4)  35(7)  44(16)  70(51)  17(10)  227(89)
 1~3年未満  6  32(8)  30(5)  12(5)  23(16)  4(1)  107(35)
 3~5年未満  1  15(7)  3(1)  5(3)  5(5)  2  31(16)
 5~10年未満  1(1)  8(2)  7(4)  6(3)  4(3)  1  27(13)
 10年以上  1  13(6)  4(2)  3(2)  3(2)  24(12)
 不明  7  1  2  1  11
  合計  13(2)  132(27)  80(19)  72(29)  103(75)  27(13)  427(165)
( )内死亡患者数

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表13 全がん登録患者 ステージ別生存年数(実数)

生存年数 stage 0 stage Ⅰ stage Ⅱ stage Ⅲ stage Ⅳ 不明 合計
1年未満  4(1)  73(20) 51(23)  111(82)  296(277) 42(35)  577(438)
1~3年未満  14  131(23)  84(15)  82(41)  86(69)  17(10)  414(158)
3~5年未満  7  85(17)  48(7)  29(5)  26(19)  6(4)  201(52)
5~10年未満  6(1)  95(11)  52(12)  44(15)  17(12)  5(2)  219(53)
10年以上  20(1)  177(27)  82(11)  49(7)  10(3)  8(3)  346(52)
不明  14  68  33  29  14  3  161
合計  65(3)  629(98)  350(68)  344(150)  449(380)  81(54)  1918(753)
( )内死亡患者数

 


図19


図21a


図20


図21b

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表14 H25年がん登録患者 部位別、ステージ分類(実数)

部位 stage 0 stage Ⅰ stage Ⅱ stage Ⅲ stage Ⅳ 不明 合計
C34 肺癌  16(9)  2(1)  28(15)  21(15)  67(40)
C15 食道癌  4(1)  1  1  2(2)  8(3)
c16 胃癌  2(1)  50(8)  9(3)  10(3)  16(13)  7(3)  94(31)
C18 結腸癌  5(1)  8(1)  11(3)  8(4)  10(7) 1(1)  43(17)
C20 直腸癌  3  8(2)  9(2)  12(3)  5(3)  1(1)  38(11)
C22 肝癌  2(1)  3(3)  1(1)  1(1)  7(6)
C23 胆嚢癌  1(1)  1  2(2)  4(3)
C24 胆管癌  1  1  2(1)  4(4)  8(5)
C25 膵癌  3(2)  1  18(16)  1(1)  23(19)
C50 乳癌 1  11  13(1)  2  3(1)  2  32(2)
C61 前立腺癌  16(1)  21(2)  1  6(2)  1  45(5)
C67 膀胱癌  2  11(3)  2  2(1)  2(1)  19(5)
C68 泌尿器系癌  2  2(2)  1  3(2)  2(1)  10(5)
C57 婦人科系癌  1  1(1)  1  2  5(1)
  その他の癌  2  1  2  9(6)  10(6)  24(12)
合計  13(2)  132(27)  80(19)  72(29)  103(75)  27(13)  427(165)
( )内死亡人数

図22

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表15 全がん登録患者 部位別、ステージ分類(実数)

部位 stage 0 stage Ⅰ stage Ⅱ stage Ⅲ stage Ⅳ 不明 合計
C34 肺癌  51(25) 14(10) 95(67) 80(69)  2(2) 242(173)
C15 食道癌  2 9(2)  6(2) 9(4)  12(11) 38(19)
c16 胃癌  13(1) 275(38) 48(10)  59(24)  87(76) 15(7) 497(156)
C18 結腸癌 18(1) 65(7) 71(9)  71(20)  53(41)  5(5) 283(83)
C20 直腸癌 15(1) 33(2) 39(6) 51(13) 23(15) 6(4) 167(41)
C22 肝癌 7(3) 9(8)  9(6)  24(20)  3(3)  52(40)
C23 胆嚢癌 6(3) 3(1)  2 13(12)  1(1)  25(17)
C24 胆管癌 3(1) 6(3) 3(2)  14(14)  1(1) 27(21)
C25 膵癌  6(4) 4(3)  63(61)  3(3)  76(71)
C50 乳癌 11 104(4) 88(8) 19(3)  9(5) 5(1)  236(21)
C61 前立腺癌  31(2) 44(4) 4  20(14)  1  100(20)
C67 膀胱癌 6  23(10) 4  3(2) 8(6) 44(18)
C68 泌尿器系癌 5(1) 2(2)  2(1)  7(6)  5(4) 21(14)
C57 婦人科系癌  1 1 1(1)  8(7)  6(4) 17(12)
  その他の癌  16 9(1)  12(4) 28(23)  28(19) 93(47)
合計  65(3) 629(98) 350(68)  344(150) 449(380)  81(54) 1918(753)

( )内死亡人数


図23

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c.主要部位(胃、大腸、乳腺、肺、前立腺)がん登録患者統計

1) 胃癌

(1)胃癌登録患者について、がん確定診断の契機となった検査または治療を診断年毎に表した(表16)。尚、死亡時等の登録で死亡月日のみ追加して内容が同一の登録34件は、この統計から省いた。

(2)胃癌登録患者のうち根治術およびESD・EMR施行患者で詳細データ入力済みの198例について占拠部位別にアプローチを表した(表17)。

(3)胃癌登録患者のうち根治術およびESD・EMR施行患者で詳細データ入力済みの198例について占拠部位別に手術術式を表した(表18)。

(4)胃癌登録患者のうち根治術およびESD・EMR施行患者で詳細データ入力済みの198例について占拠部位別に組織型を表した(表19)。

2) 大腸癌

(1)大腸癌登録患者について、がん確定診断の契機となった検査または治療を診断年毎に表した(表20)。尚、死亡時等の登録で死亡月日のみ追加して内容が同一の登録42件は、この統計から省いた。

(2)大腸癌登録患者のうち根治術およびESD・EMR及びポリープ切除術施行患者で詳細データ入力済みの250例について占拠部位別のアプローチを表した(表21)。

(3)大腸癌登録患者のうち根治術およびESD・EMRおよびポリープ切除術施行患者で詳細データ入力済みの250例について占拠部位別に手術術式を表した(表22

(4)大腸癌登録患者のうち根治術およびESD・EMRおよびポリープ切除術施行患者で詳細データ入力済みの250例について占拠部位別に組織型を表した(表23)。

3) 乳癌

(1)乳癌登録患者について、がん確定診断の契機となった検査または治療を診断年毎に表した(表24)。尚、死亡時等の登録で死亡月日のみ追加して内容が同一の登録4件は、この統計から省いた。

(2)乳癌登録患者のうち、根治術を施行した患者の詳細データ入力済み84例について、主たる腫瘤占拠部位を表した(表25)。

(3)乳癌登録患者のうち、根治術を施行した患者の詳細データ入力済み84例について、手術術式を表した(図24)。

(4)乳癌登録患者のうち、根治術を施行した患者の詳細データ入力済み84例について、組織型を表した(表26)。

4) 肺癌

(1)肺癌登録患者について、がん確定診断の契機となった検査または治療を診断年毎に表した(表27)。尚、死亡時等の登録で死亡月日のみ追加して内容が同一の登録96件は、この統計から省いた。

5) 前立腺癌

(1)前立腺癌登録患者について、がん確定診断の契機となった検査または治療を診断年毎に表した(表28)。尚、死亡時等の登録で死亡月日のみ追加して内容が同一の登録5件は、この統計から省いた。

表16 胃癌 治療・検査診断

診断年 根治術 根治術以外 ESD・EMR 生検のみ 組織診以外 他院診断で不明 合計
H20以下  230 4 27 14 2 1 278
H21 21 10 18 1 1 51
H22 23 1 8 19 2 53
H23 22 4 10 21 2 1 60
H24 34 1 11 24 70
H25 15 1 19 12 4 51
合計 345 11 85 108 11 3 563

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表17 胃癌 アプローチ

A:開腹  E:内視鏡  I:腹腔鏡・腹腔鏡補助  合計
 U:上部  35  7  2  44
 M:中部  53  19  8  80
 L:下部  33  35  6  74
 合計  121  61  16  198

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表18 胃癌 手術術式

DG: TG: PG: PP: LE: SR: MR: OT: 合計
U:上部 2 23 10 2 7 44
M:中部 30 18 2 5 4 1 19 1 80
L:下部 32 4 2 1 35 74
合計 64 45 12 7 7 1 61 1 198

DG:幽門側胃切除、TG:胃全摘、PG:噴門側胃切除、PP:幽門保存胃切除、LE胃局所切除

SR:胃分節切除、MR:EMR・ESD、OT:その他

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表19 胃癌 組織型

pap:  tub1:  tub2:  sol:  non:  sig:  muc: GIST:  CND: MIS:  合計
U:上部  16  12  5  7  1  2  1  44
M:中部  2  27  25  11  7  4  1  2  1  80
L:下部  3  40  15  8  5  1  2  74
 合計  5  83  52  24  19  6  3  4  1  1  198

pap:乳頭腺癌、tub1:高分化型管状腺癌、tub2:中分化型管状腺癌、

sol:充実型低分化腺癌、non:非充実型低分化腺癌、sig:印環細胞癌、

muc:粘液癌、GIST:胃腸管間質性腫瘍、CND:カルチノイド腫瘍、mis:その他の癌

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表20 大腸癌 治療・検査診断

診断年 根治術 根治術以外 ESD・EMR 生検のみ 組織診以外 他院診断で不明 合計
H20以下 207 2 13 4 2 2 230
H21 49 1 4 7 6 67
H22 35 6 2 4 47
H23 29 2 16 9 7 63
H24 36 3 12 11 2 64
H25 29 9 5 1 44
合計 385 14 54 38 22 2 515

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表21 大腸癌 アプローチ

開腹 腹腔鏡補助下 経肛門的 内視鏡 合計
A:上行結腸 33 4 37
T:横行結腸 27 2 2 31
D:下行結腸 7 2 2 11
S:S状結腸 43 3 15 61
C:盲腸 17 17
V:虫垂 1 1
Rs:直腸S状部 19 2 6 27
Ra:上部直腸 20 1 1 6 28
Rb:下部直腸 25 1 3 7 36
P:肛門 1 1
合計 193 11 4 42 250

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表22 大腸癌 手術術式

RH LH S PC HA LA H A I E T&L 合計
A:上行結腸 30 3 4  37
T:横行結腸 10 2 17  2 31
D:下行結腸 3 1 4 1  2  11
S:S状結腸 24 1 13  4 3  15  1  61
C:盲腸 9  8  17
V:虫垂 1  1
Rs:直腸S状部 13  8 6  27
Ra:上部直腸 2  19  6  1  28
Ra:下部直腸  9 17  7 3  36
P:肛門管 1  1
合計 50 5 25 22 29  40 3  18  11  42  5  250

RH:結腸右半切除、LH:結腸左半切除、S:S状結腸切除、PC:結腸部分切除、

HA:高位前方切除術、LA:低位前方切除、H:Hartmann手術、A:腹会陰式直腸切断術、

I:回盲切除、E:EMR・ESD・ポリープ切除、T&L:腫瘍切除&局所切除

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表23 大腸癌 組織型

pap: tub1 tub2: sol: non: sig: muc: scc: CND: MIS: 不明 合計
A:上行結腸   6 11 15 1 1 3 37
T:横行結腸 2 8 19 2 31
D:下行結腸 4 7 11
S:S状結腸 6 16 37 1 1(腺癌) 61
C:盲腸 1 3 8 3 1 1 17
V:虫垂 1 1
Rs:直腸S状部 5 6 16 27
Ra:上部直腸 2 6 19 1 28
Rb:下部直腸 6 28 1 1 36
P:肛門管 1 1
合計   22 60 150 6 2 1 4 1 2 1 1 250

pap:乳頭腺癌、tub1:高分化型管状腺癌、tub2:中分化型管状腺癌、

sol:充実型低分化腺癌、non:非充実型低分化腺癌、muc:粘液癌、

scc:扁平上皮癌、CND:カルチノイド腫瘍、MIS:その他の癌

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表24 乳癌 治療・検査診断

診断年 根治術 根治術以外 生検のみ 合計
 H20以下 146 1 4 151
 H21  12  3  15
 H22  21 1 22
 H23  21  5  26
 H24  13  1  7  21
 H25  12  6  18
 合計  225  2  26  253

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表25 乳癌 主要腫瘤占拠部位

左側 右側 両側 合計

図24

A:内上部 14 13 27
B:内下部  1  4  5
C:外上部  14  18 1  33
D:外下部  4  6  10
C’腋窩部  2  2
E:乳輪部  3  3  1  7
 合計  36  46  2  84

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表26 乳癌 組織型

1-a  1-b  2-a2 2-a3 2-b1 2-b3 2-b6  合計
A:内上部 2 5 5 10 1  3 1 27
B:内下部  1  2  2  5
C:外上部  4  4  9  8 3  5  33
D:外下部  1  1  3  3  1  1  10
C’:腋窩部  1  1  2
E:乳輪部  1  1  3  2  7
 合計  9  11  23  25  5  10  1  84

1-a:Noninvasive ductal carcinoma, 1-b:Lobular carcinoma in situ

2-a2:Solid-tubular carcinoma, 2-a3.Scirrhous carcinoma, 2-b1:Mucinous carcinoma

2-b3:Invasive lobular carcinoma, 2-b6:Spindle cell carcinoma

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表27 肺癌 治療・検査診断

診断年 根治術  根治術以外 生検のみ 組織診以外 他院診断で不明 合計
 H20以下 6 22 9 1 38
 H21  5  24  18  47
 H22  38  7  1  46
 H23  1 1  31  5  38
 H24  2  43  11  56
 H25  37  2  39
 合計  14  1  195  52  2  264

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表28 前立腺癌 治療・検査診断

新断年  根治術 根治術以外 生検のみ 組織診以外 合計
 H20以下 11 1 9 1 22
 H21  2  1  3  6
 H22  5  3  2  10
 H23  5  15  1  21
 H24  9  20  29
 H25  3  13  16
 合計  35  2  63  4  104

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d.術後再発、転移、重複癌等に関する統計

1)胃癌登録患者で外科的根治術または内視鏡によるEMR・ESD施行患者が、術後再発、転移または別部位に新たにがんが確認された時の初発診断日から前述が確認された期間を表した(表29)。

2)大腸癌登録患者で外科的根治術または内視鏡によるEMR・ESD・ポリープ切除術施行患者が、術後再発、転移または別部位に新たにがんが確認された時の初発診断日から前述が確認された期間を表した(表30)。

3)乳癌登録患者で外科的根治術施行患者が、術後再発、転移または別部位に新たにがんが確認された時の初発診断日から前述が確認された期間を表した(表31)。

(4)前立腺癌登録患者で外科的根治術施行患者が、術後再発、転移または別部位に新たにがんが確認された時の初発診断日から前述が確認された期間を表した(表32)。

表29 胃癌 術後再発、転移、重複癌等発見までの期間

1年未満 1~3年未満 3~5年未満 5~10年未満 10年以上 合計
stage 0 6(1)  2  2  2 12(1)
stage Ⅰ  226(19 2 1)  2(1)  8(2) 3(2) 8(2)  12(4) 259(33)
stage Ⅱ 38(4 1) 4(3) 1 2(1) 1 46(9)
stage Ⅲ 36(8 2) 3(1)  5(2)  1  1  46(13)
stage Ⅳ 15(9)  2 3(2)  20(11)
不明 2  2
 合計 323(47) 7(2) 22(9)  4(2)  13(3)  16(4)  385(67)

( )内死亡患者、黒:他疾患 赤:癌死 緑:他からの連絡

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表30 大腸癌 術後再発、転移、重複癌等発見までの期間

 無 1年未満 1~3年未満 3~5年未満 5~10年未満 10年以上 遠隔転移部

未切除

合計
 stage 0 28(2)  3  1  32(2)
 stage Ⅰ  82(6) 2  4 3(1) 2  3(1)  96(8)
 stage Ⅱ  86(4 1)  4  10(1 4 1)  2(1)  2 1(1)  1  106(13)
 stage Ⅲ 79(6 1 1)  12(7) 9(4 1) 4(1)  3(2)  2  109(23)
 stage Ⅳ 31(1 16) 2 6(5)  39(22)
 不明  1(1)  1(1)
 合計 306(38)  20(7) 33(17)  9(3)  8(2)  6(2)  1  383(69)

( )内死亡患者、黒:他疾患 赤:癌死 緑:他からの連絡

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表31 乳癌 術後再発、転移、重複癌等発見までの期間

1年未満 1~3年未満 3~5年未満 5~10年未満 10年以上 合計
 stage 0  11  11
 stage Ⅰ  89(2)  1  1  2 3(1) 4(1) 100(4)
 stage Ⅱ 68(3 1)  2(1)  3(1)  4(1)  4 81(7)
 stage Ⅲ 15  1(1) 1(1) 17(2)
 stage Ⅳ 2(1)  1 1(1) 4(2)
 不明  2  1(1)  3(1)
 合計  187(7)  3(1)  3(1)  6(2)  8(3) 9(2) 216(16)

( )内死亡患者、黒:他疾患 赤:癌死

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表32 前立腺癌 術後再発、転移、重複癌等発見までの期間

 無 1~3年未満 3~5年未満 5~10年未満 10年以上 合計
 stage Ⅰ  10(1) 1  1 12(1)
 stage Ⅱ 21(2)  1  1 2(1) 25(3)
 stage Ⅲ  1  1
 stage Ⅳ  1  1(1)  2(1)
 合計 33(3)  2  2 2(1)  1(1)  40(5)

( )内死亡患者、黒:他疾患 赤:癌死

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4.結果

3.a.がん登録患者数(延べ数)、1)部位別での平成25年と平成25年を含む全がん登録患者の比較では、胃癌:全がん登録患者26%に対して平成25年では、21%、結腸癌:全がん登録患者15%に対して平成25年では11%、直腸癌:全がん登録患者 8%に対して平成25年では7%、乳癌:全がん登録患者11%に対して平成25年では6%となり、大きな変動はなかった(図2a、図2b)。2)性別での統計では、平成20年以前登録及び平成21年登録では男性より女性の比が若干多かったのに比べ、平成22年登録から徐々に女性の比率が下がり、平成25年では男性に比べて女性の比率が男性の約2分の1という結果になった(図3)。3)発見経緯別の統計では、全がん登録患者の他疾患の経過観察中での発見では約30%、対してH25年では40%と若干上昇した(図5a、図5b)。4)部位別患者年齢分布では、60代から80代にかけてのがん登録患者が併せて1863件と全体の約78%を占めていた。

3.b.がん登録患者実数統計、1)部位別、性別統計で、男性の全がん登録では、前立腺癌登録が9%に対して平成25年に登録された前立腺癌患者の比率は16%に上昇した(図8a図10a)。女性の乳癌登録患者では、全がん登録患者では27%を占めていたが、平成25年登録では22%に減少した(図8b図10b)。しかし、平成25年に生存が確認された、全生存がん登録患者での乳癌の比率は38%と非常に高かった(図12b)。また、全生存がん登録患者で男性の場合は、胃癌が34%と高い数値を示した(図12a)。2)ステージ別転帰では、平成25年登録されたがん患者の転帰と、全がん登録患者の転帰とではあまり比率に変化はなかった(図14図16)。3)部位別年齢分布では、ほとんどの部位で60代から80代のがん患者が、平成25年登録で併せて336名と全体の81%を占め、全がん登録患者では1442名で全体の82%をしめた(表10表11)。4)ステージ別生存年数では、ステージⅣの割合が平成25年では、103名で全体の24%を占めていた(表12)。全がん登録患者では、ステージⅣの患者が449名で23.4%とあまり変化はなかった(表13)。さらに平成25年登録患者と全がん登録患者での死亡患者の生存年数の比率では、あまり変化がなかった(図21a、図21b)。5)部位別ステージ分類では、平成25年登録がん患者と全がん登録患者の比率では、前者、後者共に胃癌患者のステージⅠ分類の患者が際だって多かった(表14、図22表15、図23)。

3.c主要部位がん登録統計、1)胃癌では、平成25年に胃癌と診断された件数が51件となっており、前年より約20件程減少していた(表16)。また平成25年の胃癌に対してのESD件数は19件と前年の11件より若干増加していた(表16)。当院では、平成21年以降の外科的根治術及びEMR・ESDの手術(一部平成20年以前を含む)に関して詳細データを入力しているが、その詳細データが入力されている198例を分析してみると、占拠部位別では胃中部80件、胃下部が74件で併せて78%を示していた(表17)。また、アプローチを見てみると胃中部では開腹手術や腹腔鏡補助下の外科的手術が最も多く施行されていた。しかし、胃下部では外科的手術の方が若干多く施行しているものの、内視鏡での治療では胃中部19件に対して下部では35件と1.8倍も多く施行されていた(表17)。また、手術術式では幽門側胃切除が64件と最も多く、次いでEMR・ESDの61件であった(表18)。組織型では、高分化型管状腺癌が83件と最も多く、次いで中分化型管状腺癌が52件であった(表19)。2)大腸癌でも胃癌と同様に、平成25年に大腸癌と診断された件数は44件と平成24年診断よりも若干減少していた(表20)。大腸癌も胃癌と同様に詳細部位を入力しているが、その入力されている詳細データ250件を分析してみると、占拠部位別ではS状結腸癌が61件と最も多く、次いで上行結腸37件、下部直腸36件となっていた(表21)。手術術式では、結腸右半切除術が最も多く50件、ついでEMR等の42件、低位前方切除術の40件と成っていた(表22)。組織型では、胃癌とは別に中分化型管状腺癌が最も多く150件で60%を占めていた(表23)。3)乳癌の平成25年の診断は18件と、平成23年の26件に対して約70%まで減少した(表24)。乳癌も胃癌、大腸癌同様詳細データを入力している。その詳細データ入力済みの84件から、占拠部位で分析してみると、左右共々内上部、外上部と上部の腫瘍が多く、左側で内上部14件、外上部14件の併せて28件で左側全体の78%を占め、右側では、内上部13件、外上部18件の併せて31件で右側全体の67%を占めていた(表25)。手術ではBp Axの術式が最も多く46%を占めていた(図24)。組織型では、Scirrhous carcinoma(硬癌)が最も多く25件(30%)で、Solid-tubular carcinoma(充実腺管癌)の23件(27%)で、浸潤性乳管癌の割合が併せて57%であった。その他、当院でのがんの診断が多い、肺癌や前立腺癌も併せて診断年毎に表で表した(表27表28)。当院では肺癌の外科的手術は、非常勤医師が施行するため根治術は表27で示すとおり、全体でも14件と少なく、手術適応患者はほとんど紹介している。その為、当院での治療は、他医療機関との連携を行い、手術、放射線治療は他院へ、化学療法、緩和ケア等は当院で行っている。また、前立腺癌については、表28に示すとおり、外科的根治術は35件で全体の33.6%を示している。その他の当院での治療は、内分泌療法、化学療法、緩和ケア等を施行している。

3.d.術後再発、転移、重複癌等に関する統計では胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺を取り上げ分析した。その結果胃癌、大腸癌では1~3年未満に発症することが非常に多い結果となった。また、当然のことながらステージⅣでは、再発・転移等はなくても、そのまま癌死を遂げられる方が多く、早期癌の場合は、癌以外の疾患でなくなられる方が多い。また、再発・転移・重複癌等が発症するとほとんどが癌死となる率が高くなる(表29表30表31表32)。胃癌の統計で、ステージ0の場合、再発等が確認された人数は6名で50%の高い確率で発見された結果となった(表29)。大腸癌では32名中4名で12.5%、乳癌では11名中0%となった(表30表31)。

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5.まとめ

今回の統計で、表5で示した平成25年のがん登録患者の男女別の統計では男性が274人、女性が153人と男性の約56%が女性という結果になった。これは、女性の癌である婦人科系の診療を行う常勤医師がいなく、非常勤医師に診療を依頼している結果であると考えられた。しかし、山形県で調査した報告でも、男女比の割合が2009年で男性4895、女性3343件で68.3%、2010年では男性5249、女性3705件で70.6%と女性の方が低いという報告であった。このことから、当院だけではなく山形県全体でも女性のがんの罹患率は男性に比べて低くなっていることがわかった1)。

当院実数統計で、平成25年のがん登録患者では、男性の胃癌が24%、肺癌が19%、前立腺癌が16%となっていた(図8a)。また、女性では乳癌22%、胃癌が18%、結腸癌が16%となっていた(図8b)。これは、山形県の報告でも男性が胃癌、肺癌、前立腺癌と報告されていて、女性では乳癌、胃癌、結腸癌の順に多いと報告されている1)。これは当院と全く同じ結果であった。山形県の部位別がん罹患率(人口10万対)は、日本全体の罹患率と比べ、ほぼ全ての部位において高いと報告されている。その中でも胃癌の罹患率は、男女共々全国と比較して非常に高いと報告されている2)。今回当院での平成25年での生存者の部位別統計では、男性の胃癌34%、結腸癌18%、女性の乳癌38%、胃癌で22%となっており、全がん登録患者の比率より若干上がっている(図12a、図12b図10a、図10b)。特に女性に多い乳癌では全がん登録患者の比率で27%に対して生存乳癌患者は38%と大幅にアップしている(図10a、図10b図12a、図12b)。これは、乳癌が自分でも発見しやすく、早期に発見されることが多いことから死亡の確率が下がり、生存年数が上がるという結果になったと思われる。そのことから、できるだけ早期発見を目指すための検診事業や食生活の改善等の啓発を各自治体、医療機関等で行うことが山形県の重要な課題と思われる。当院の全がん登録患者の部位別・ステージ別分類でも乳癌の罹患患者はステージ0~ステージⅡまでの癌が86%を占めていた(表15)。

当院の特徴として、ステージⅣの患者が非常に多い。平成25年登録患者でステージⅣの患者が103名と全体の24%を占めていた(表14)。全がん登録患者の分類でも449名と全体の23.4%となっている(表15)。これは、当院に併設されている緩和ケア病棟に入所するため、末期がん患者の紹介患者が多いことが考えられる。

今回の統計に、術後再発、転移、重複癌等に関する統計も公表した。その中で胃癌でのステージ0での再発、転移、重複癌等の発症率は12名中6名が発症しており50%と成っていた(表29)。しかし、その発症までの期間は1~3年未満での短期での発症は2名で、他は5~10年以上経過後の長期間を経ての発症となっているため、再発ではなく新たに発症した癌であると考えられる。更に発症部位を調べてみると、1名のみ食道に発症したが、他の5名はいずれも胃に発症していた。現段階では症例数が少ないので一概には言えないが、早期胃癌のみならず全ての早期がんの術後のフォローについて、定期健診を数年でやめることのないように、毎年(乳癌は隔年)必ず受けるように患者に十分説明するべきであろうと考える。

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6.さいごに

「山形県のがん 2010(平成22年)」の報告に各医療機関毎の「山形県悪性新生物患者届出票」の報告結果の集計がなされていた。当院は置賜地域二次保健医療圏での報告で最多の報告数であり、山形県癌診療連携拠点病院6病院を含めても8番目に多い報告数であった3)。それは、当院での院内がん登録の収集にかけるシステムが、未登録患者の抽出からはじまり、がん登録の一時保存までの行程を事務レベルで手がけ、最終的に医師が登録するというシステムに変更したからだと考えられる。

今回の統計では、現在も通院している、または、近年まで通院していた患者のデータを平成21年よりもさかのぼって、追加入力を行った。また、生存確認や、再発・転移・別部位への新たながんなどを調べるために、電子カルテを利用し随時情報の追加を行っているため、データの登録内容はそのたびに変動している。このように対処しながらがん登録を行い、毎年、当院の最新情報を提供するように心がけている。

今回は、最終基本日を平成25年12月31日に設定して生存年数、転帰等の統計を行った。今後も基本日を更新しながら、引き続き公表できるように更なるデータ収集を心がけたいと思っている。

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文献

山形県健康福祉部:山形県のがん 2010(平成22年)(山形県がん実態調査報告)、山形県立がん・生活習慣病センター、山形県健康福祉部、山形県、66,2014

山形県健康福祉部:山形県のがん 2010(平成22年)(山形県がん実態調査報告)、山形県立がん・生活習慣病センター、山形県健康福祉部、山形県、26,2014

山形県健康福祉部:山形県のがん 2010(平成22年)(山形県がん実態調査報告)、山形県立がん・生活習慣病センター、山形県健康福祉部、山形県、76,2014

平成26年6月

三友堂病院 院内がん登録

がん登録担当課 診療部(がん診療部門)

データ担当課  秘書課

院内がん登録(2013)[PDF:3.0MB]