メタボリックシンドロームになりやすい食習慣の1つに、脂っこいものの食べ過ぎがあります。脂肪は三大栄養素の1つで体にとって不可欠な栄養素です。しかし、取りすぎてしまうと肥満や動脈硬化を進めてしまうなど様々な悪影響を及ぼしてしまいます。今月は今までの食事を振り返り、脂肪の取り方について見直してみましょう。

脂肪の働き

脂肪はエネルギー源となり、体温を一定に保ち臓器の保護も行っています。また血液中のコレステロールは細胞膜、ホルモンの材料になっています。

↓ しかし、取りすぎると!

肥満の原因になったり、血液が流れにくくなり血栓ができやすくなったりし動脈硬化の引き金になります。

脂肪の種類を理解しましょう

脂質は、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸にわけられます。

飽和脂肪酸 肉の脂肪や乳製品などの脂肪に多く含まれます。不足すると、血管がもろくなったり、貧血の原因になったりしますが、取りすぎると中性脂肪やコレステロールを増加させる作用があるため動脈硬化の原因になりますので取りすぎには注意が必要です。
一価不飽和脂肪酸 主にオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸のことをいいます。悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを減少させない働きがあります。しかし、脂肪ですので取りすぎはエネルギー過剰になり肥満につながります。
多価不飽和脂肪酸 n-3系とn-6系にわけられます。

n-3系は魚類に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が代表的です。これらは悪玉コレステロールを減少させない働きがあります。また、心臓病を防ぐ効果があると認められています。肉より魚を多く食べていきましょう。

n-6系は食物油に多く含まれるリノール酸が代表的です。他の不飽和脂肪酸と違い、悪玉コレステロールだけでなく善玉コレステロールも減少させてしまいます。取りすぎはアレルギー症状をおこしやすくなるといわれています。

健康を維持するための摂取の割合は

飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸

=  3   :   4   :   3   程度が望ましいです。

この割合を1日の食事の食品構成でみてみると、以下のようになります。

主食~ごはん:茶碗1杯半(250g)×3食
主菜~魚:1切れ(80g)、 肉:薄切り2枚(50g)
卵:1/2個(25g)、豆製品:豆腐1/8丁(40g)
副菜~野菜や海草類 400g、いも類40g
果物~70g(りんご半分、バナナ大1/2本、いよかん1/2個 など)
乳製品~牛乳200ml
食物油~大さじ約1/2杯(7g)

〈当院の常食献立 1日平均実績(平成18年12月度)より〉

量は控えめに

脂肪のエネルギーは1gあたり9kcalです。これは、炭水化物や蛋白質の2倍以上であり、取りすぎはエネルギーの過剰につながり肥満や動脈硬化の原因になります。1日に使用する油の適量は大さじで軽く1杯です。油を多く使用する揚げ物や炒め物を続けて食べることは控えましょう。また、サラダなどはポン酢やノンオイルのドレッシングで食べるとよいでしょう。

油をカットしたこんな1品はいかがですか

白身魚のチーズパン粉焼き

フライは油っこい料理の代表です。チーズ入りのパン粉を付けて焼くことで、カリカリ香ばしく出来上がります。さらにエネルギーを大幅にカットできます。

材料(2人分)

  • たら・・・2切れ(200g)
  • A塩・・・少々
  • Aこしょう・・・少々
  • A白ワイン・・・小さじ1
  • バター・・・6g
  • チーズパン粉
    パン粉・・・10g
    粉チーズ・・・20g
  • パセリ・・・少々
  • ソース・・・5g

たらのフライは215kcalですが、
パン粉焼きは150kcalと65kcalのダウン!
チーズの塩分で、ソースが少量でも美味しく食べられます♪

作り方

  • たらにAをまぶして5分おく。
  • チーズパン粉の材料を混ぜ合わせる。
  • たらの水分をふきチーズパン粉をふり、バターをのせる。
  • オーブントースターで10分焼き、焦げ目をつける。(中まで焼けるようにアルミホイルをかぶせて焼く。)

一人分の栄養価

エネルギー:154kcal
脂質:5.6g
タンパク質:20.6g
塩分:1.2g

ついつい、おいしく感じて油をたっぷりと使った料理を食べ続けていくことでメタボリックシンドロームに1歩ずつ近づいていってしまいます。エネルギーと栄養のバランスを考えながら食べていきましょう。

このページの原稿&資料提供 三友堂病院栄養管理室