[泌尿器科手術]腹腔鏡手術(腎臓癌)

2008年3月14日

三友堂病院 泌尿器科
前科長 髙木 敏男

 泌尿・生殖器は、体の深い部分にあり開腹手術が必要な場合には比較的大きな術創を要します。そのため、術後の痛みや回復が遅れがちです。また、体の深い場所の手術ゆえに視野が悪く不必要な出血をしがちです。それらをカバーするべく発展しているのが腹腔鏡手術です。今回は腎臓癌に対する腹腔鏡手術をご紹介します。
 腎臓癌は近年は検診やドックなどの超音波検査で偶然発見されることが多い悪性腫瘍です。そのため、発見された時は比較的早期で手術療法の適応となります。以前は腹部あるいは側腹部に15.-20cmの傷をつけて腎臓を摘出していました。しかし、腹腔鏡技術が進歩して現在は1cm程度の傷が2-3個と5cmの腎臓を取り出す傷で手術が出来るようになりました。腹腔鏡の利点は、傷が小さくて創痛の軽減や美容などの面で強調されがちですが、術者としてはやや視点が違います。腎臓は体の深部にある臓器ですので手術する場合に視野を取りづらくストレスがかかるものです。しかし、腹腔鏡手術は直径1cm程度のカメラを体内に挿入することで体の深い部分も数倍の大きさにモニターに写すことが可能であり、細い血管を注意深く処理することが出来ます。事実、出血も開腹手術に比べ非常に少なくすみます。但し、利点ばかりではありません。手術時間の延長や、二酸化炭素を腹腔内に送りながら視野を確保するために血栓症の危険性を高めたり、いざ大出血をした時に緊急に対応できないなどの欠点があります。そういったリスクを下げるために様々な工夫をしておりますが、癒着などが強く術中に開腹手術に変更したほうがいいと判断した場合には躊躇無くそのようにすべきと考えています。
 腹腔鏡手術は万能ではsありませんが、医療者側と患者さん側がともに利益を得られる手術方法です。今後、手術を受ける方でお悩みなどがあればお気軽に泌尿器科まで声をかけてください。

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原稿&資料提供  三友堂病院泌尿器科