[外科手術]当院における鼠径ヘルニア手術

2009年2月26日

当院前外科医師

外科 牧野孝俊

1.鼠径ヘルニアとは?

イラスト(医師) 鼠径ヘルニアとは、いわゆる「脱腸」です。脱腸は子供でよくききますが、大人でも、体の壁の強さにたいして、腹圧の高い人、組織がすこし、弱くなりつつある人で起こりやすいようです。
 お風呂に入っていて、足の付け根あたりのおなかがぽこっとでていたら、もしかすると鼠径ヘルニアかもしれません。
 立ち仕事をする人で、腸がでっぱなしになると重苦しくなったり、痛みを感じたりするようになります。また、「嵌頓」といって、腸が脱出し、戻れなくなった状態になると、腸は血流障害を生じ、激痛を伴ったり、腸が腐って、緊急手術をする必要がでてきます。
 たかが脱腸、されど脱腸。当院では、疼痛、再発を軽減するように工夫をして手術を行っております。

2.どんなひとがなりやすいの?

 少し、肥満気味のひと。高齢者。力仕事を行い、過度の腹圧のかかるひとが多いようです。男性女性関係なく、鼠径ヘルニアはかかります。

3.なぜ治療が必要なの?

 鼠径ヘルニアは、弱くなった体壁部分から、腹圧により、腹膜が体壁外に脱出し、そのスペースに、腸が出入りするようになる病気です。腸が脱出することにより、重苦しさを感じたり、痛みを感じます。立ち仕事の多い方では、それによる苦痛がおおくなるかもしれません。鼠径ヘルニアを治療することにより、改善できる可能性がたかいと思われます。また、飛行機の中、温泉旅行中に、「嵌頓」を起こすかもしれません。大変な激痛を伴い、また、処置が遅れれば、腸が壊死を起こし、腸の中身がおなかの中にもれてしまうこともあります。そういった状態を未然に防ぐことが手術の目的になります。

4.どんな治療をするの?

手術法

 基本的には手術です。おなかの中から体壁外に突出した、ヘルニア嚢とよばれる袋を切除し、弱くなってあいた体壁の穴を、メッシュで補強する手術を行います。以前は、メッシュを使わない手術が行われていました。糸で穴を縫ってしまうことにより、穴をふさぐという手術ですが、緊張による痛みが強かったり、再発率が高い傾向があります。

 当院では、数種類あるメッシュの中でも、痛みが少なく、再発率の低い「Direct Kugelパッチ」を使用しています。比較的新しい手術方法ですが、当院では、2年前からこの術式をとりいれ、豊富な手術症例数を経験しております。
麻酔は、腰椎麻酔という下半身麻酔で手術を行います。手術の時には、精神を落ち着けるような薬を飲んでもらい、緊張の軽減をしています。背骨の手術をしたことのある人は、下半身麻酔が行えない麻酔を含めて、1時間半ほどです。

DK法(ダイレクトクーゲル法) DK法(ダイレクトクーゲル法)
DK法(ダイレクトクーゲル法)

5.当院における鼠径ヘルニア治療の流れ

  1. 外来:診察をします。まずは、手術に関して、支障がないか、採血、レントゲン、心電図などの検査を行います。
  2. 入院:入院は、手術前日です。手術までの、流れを看護師から、説明を受けたり、手術前の処置を行います。術後は、2,3日で退院です。
  3. 外来:手術後7日目、外来で抜糸を行います。退院後の様子をうかがいます。通常、このときに異常がなければ、その後の通院は必要ありません。

なにかあったときには連絡いただくようにしています。

※ここに掲載されているイラストは(株)メディコン様より許可を得たものです。

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原稿&資料提供  三友堂病院外科